ヒーターの熱計算

REFERENCE

加熱対象物を目標温度まで昇温して制御するためには、その条件に必要な熱量を計算し、ヒーター容量を設定する必要があります。
ヒーター容量が少なすぎると、昇温までに時間がかかりすぎてしまったり、目標温度まで到達出来なかったりする場合があります。
また、ヒーター容量が多すぎても、昇温後の制御が不安定になる(オーバーシュートが大きくなる)懸念や、温度が上がり過ぎたことによる加熱対象物への悪影響(過剰な温度による焼けや材質の変化)の懸念があります。
これらの問題点を避けるために、加熱対象物の体積・材質・雰囲気温度などから熱量を算出し、目標となるヒーター容量を計算する必要があります。

オームの法則

[電気・熱の基礎公式]

  • E = 電圧(V)ボルト
  • R = 抵抗(Ω)オーム
  • P = 電力(W)ワット
  • t = 時間(s)秒
  • I = 電流(A)アンペア
  • Q = 熱量(Q)カロリー
  • 1cal = 4.186ジュール
  • Wh = 電力量
  • J = ジュール
  • 1J = 0.2389カロリー

[オームの法則について]

電流は電圧に正比例し、抵抗には反比例します。
下記の公式にて計算を行います。

電気が仕事をする力=電力を表す単位がワットです。
下記の公式により計算を行います。

[ジュールの法則について]

ジュールの法則とは、抵抗がある導体に電圧E(V)を加え、I(A)の電流を t(秒)流したときの発生する熱エネルギー(J)を計算する為の公式であり、下記の公式により計算を行います。電流を導体に流した際に発生する熱量の事をジュール熱と呼称します。

抵抗R(Ω)の物体に、I(A)の電流をt秒間流した時に発生するジュール熱Q(J)は

これはオームの法則V=RIを用いることで、以下のように表記することもできる。

[電力と熱量]

1ワットの電力が1秒間にする仕事は1ジュール(1J)です。
1ワット、1時間の熱量は下記の公式にてカロリー変換出来ます。

1ワット時=60×60×ワット秒=3600ジュール×0.2389=860カロリー

計算プログラム

※ご使用の際は十分な検証の上、計算結果に適切な安全率や誤差等をご考慮下さい。
 また、実際のヒーター使用時に生じる結果を保証するものではございません。
※計算結果のご使用によって生じた不具合・トラブルについて、弊社では責任を負いかねますので、予めご了承下さい。

[並列接続の合成抵抗]

抵抗r1、r2・・・・・rn〔Ω〕のものを全部並列に接続した場合の抵抗R(Ω)は次式で表します。

  • 抵抗
    Ω

    ※「10,20,40」のように抵抗値を「,」で区切って入力してください。

  • 合成抵抗
    Ω

[直列接続の合成抵抗]

抵抗r1、r2・・・・・rn〔Ω〕のものを全部直列に接続した場合の抵抗R(Ω)は次式で表します。

  • 抵抗
    Ω

    ※「10,20,40」のように抵抗値を「,」で区切って入力してください。

  • 合成抵抗
    Ω

[三相交流回路]

電線圧EL(V)の平衡三相交流回路にデルタ(△)又はスター(Y)結線した場合、電圧、電流、電力の関係は次式で表します。

デルタ(△)結線

  • 線間電圧
    V
  • 抵抗
    Ω
    抵抗
    Ω
    抵抗
    Ω
  • 線電流
    A
    線電流
    A
    線電流
    A
  • 相電流
    A
    相電流
    A
    相電流
    A
  • 各抵抗消費電力
    W
    各抵抗消費電力
    W
    各抵抗消費電力
    W
  • 合計消費電力
    W

スター(Y)結線

  • 線間電圧
    V
  • 抵抗
    Ω
    抵抗
    Ω
    抵抗
    Ω
  • 線電流
    A
    線電流
    A
    線電流
    A
  • 相電圧
    V
    相電圧
    V
    相電圧
    V
  • 各抵抗消費電力
    W
    各抵抗消費電力
    W
    各抵抗消費電力
    W
  • 合計消費電力
    W

容量計算

[ワット密度とは]

表面積あたりのヒーター有効発熱部の電力密度(W/cm²)がワット密度です。
数値が大きいほどヒーター表面温度は高くなります。また、各種ヒーターごとにワット密度の限界値に差があります。

(計算例)

カートリッジヒーター 外径φ16mmxヒーター長さ300mm  220V-800Wの場合

<計算式>

(計算例)

プレートヒーター 300mmx90mm  220V-800Wの場合

<計算式>

カートリッジヒーター

  • ヒーター容量
    W
  • 有効発熱長
    mm
  • ヒーター径
    mm
  • ワット密度
    W/cm²

プレートヒーター

  • ヒーター容量
    W
  • 有効発熱長
    mm
  • 有効発熱長
    mm
  • ワット密度
    W/cm²

[質量に対するヒーター容量計算]

加熱したい非加熱物に必要な熱容量(W)の計算式は非加熱物の質量、昇温温度、時間、熱効率(安全率)より算出する事が可能です。

<計算式>

(計算例)

300mmx300mmx100mmの鋼材を1時間で200℃まで昇温させるための熱計算
鋳鉄質量:30cmx30cmx10cmx7.2=64800g (64.8kg)
※ 周辺温度を20℃とした場合
※ 鋳鉄の比熱 418(J/kg℃)  安全率:1.3
※ 加熱時間 60秒x60分=3600秒

  • 加熱に要する電力
    W

各種物質の熱的性質表

横にスクロールできます

物質 温度
比熱
J/kg・℃
非重量
g/㎤
熱伝導率
kcal/mh℃
温度伝導率
㎡/h
備考
金属 鋳鉄(C4%) 20 419 7.270 45 0.062
鋼鉄 473 7.800 37 0.042
ステンレス 18Cr 8Ni 460 7.820 14 0.016
アルミニウム(純) 896 2.710 196 0.340
銅(純) 383 8.960 332 0.404
青銅 75Cu,25Su 343 8.670 22 0.031
黄銅(赤)85Cu,9Su,6 Zn 385 8.710 52 0.065
七三黄銅 70Cu,30Zn 385 8.520 95 0.123
ニッケル(99.9%) 421 8.910 77 0.082
亜鉛 384 7.140 96 0.148
すず 226 7.310 55 0.140
非金属 ベークライト 20 1590 1.270 0.2 0.00041
ゴム 1130~2000 0.92~1.23 0.204
ガラス 779 2.590 0.830 0.00172
液体 スピンドル油 1850 0.871 0.124 3.22
潤滑油 40 1963 0.876 0.240 3.00
20 4181 0.9988 0.513 0.00143
気体※ 空気 20 1013 1.164 0.022 0.213 ※気体の非重量単位はkg/㎡とし760mmHgにおける値です。
100 1021 0.916 0.026 0.328
200 1034 0.723 0.032 0.494
400 1059 0.508 0.042 0.901
500 1076 0.442 0.046 1.135
600 1088 0.391 0.050 1.363
過熱蒸気 100 2034 0.578 0.020 0.0717
200 1963 0.451 0.026 0.122
300 1996 0.302 0.032 0.1776
400 2051 0.316 0.037 0.240
500 2118 0.275 0.043 0.308

※本システムでの結果は参考値となります。ご使用の際の結果を保証するものではありません。
※計算結果のご使用によって生じた損害について、弊社では一切責任を負いかねます。

私たちは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。

SDGsへの取り組みをご紹介 >